ラリック美術館へ

久しぶりのブログ更新です。冬の間はおとなしくステイホームをしていました。もちろん今もしています。

が、ここではない空気を吸い、美しいもので心を満たしたい一心で箱根ラリック美術館で開催中の「ドラマチック・ラリック 香りをかたちに ときめく香水瓶」を見てきました。

香水瓶は美しい。

どのような香りが閉じ込められているのか、フォルムからは直接的な香りの説明がなく、タイトルと併せてとても詩的です。いよいよ蓋を開けてシュッと漂わせる瞬間まで想像力をかき立ててくれ、さらに香りが鼻腔に届いた瞬間に「あぁ!!」と心を高揚させてくれます。(誰しも母のパウダー缶をわくわくしながら開けてぱぁぁぁああとなった記憶があるのでは?)

1924~1933年に発表されたラリックがボトルデザインをしたウォルト社の香水

Dan la Nuit 真夜中

Vers le Jour 夜明け前に 

Sans Adieu さよならは言わない

Je Reviens 私は戻る

Vers Toi あなたの元へ

5作を続けると1つの詩に聞こえるのは当初から狙いだったのかそうでなかったのかは定かではないようですが、中でもヒヤシンスやジャスミン、ムスクなど、甘いながら落ち着いた奥行きのある忘れがたい香りを、海を照らす灯台のようなボトルに閉じ込めた「Je Rerviens 私は戻る」は第2次世界大戦に赴く兵士、そして戦地から戻る兵士が愛する人への贈り物として大流行した逸話も紹介されていました。

危機にさらされる時ほど人は濃厚な香り、ロマンチックな何か、特別な何かを求めるのは今も変わらないようです。最後の贈り物になった兵士もいただろうに・・・何でもない幸せって大事、と妙に切なくなったりもしました。


それにしても香水瓶は美しい。

答えを浅く早く手短かに求めがちな現代とは対照的に、香りを想像する時間をたっぷりと用意していくれているように感じるからでしょうか。

一番上のパンフレットにある女性が手を置いているポスターの香水瓶は、中身をいっぱいに入れると直線的なボトルの中にウエストを絞ったような柔らかなシルエットが現れ、当然液体なので揺れるわけです。柔らかなレースのドレスをまとった女性が歩いてくるようでなんてロマンチック!


昨年からずっと機会をうかがっていて、春を待てば”多少世の中(新型感染症)が穏やかに”なっているかと思いきやこの状況で、会期もあとわずかの滑り込みでしたが心豊かに過ごせました。

首都圏の緊急事態宣言解除「予定」の21日まで開催中ですので、静かにじっくり美しい作品に時間をかけたい方がいらっしゃったらお勧めです。

常設で展示されているオパルセントガラス作品の美しさは言葉に尽くせません。


<半券>

個人的には半券の美しさもピカイチだと思います。(いつも違う作品)

北欧の古道具屋さんみたいなアロマテラピー教室 すぅ